どのような処方内容か?
70 歳代の女性。
〈処方箋1〉
————————————————————————————–
ユーエフティ配合カプセル T100 4 Cap 1 日 3 回 8 時間毎 9 日分
(6 時 2 Cap、14 時 1 Cap、22 時 1 Cap)
ユーゼル錠 25 mg 3 錠 1 日 3 回 8 時間毎 9 日分
(6 時、14 時、22 時)
S・M 配合散 2.6 g 1 日 2 回 朝夕食後 10 日分
タガメット錠 200 mg 2 錠 1 日 2 回 朝夕食後 10 日分
セファドール錠 25 mg 2 錠 1 日 2 回 朝夕食後 10 日分
レンドルミン錠 0.25 mg 1 錠 1 日 1 回 就寝前 10 日分
————————————————————————————–
何が起こったか?
・薬剤師 A は、ユーゼル錠とゼローダ錠を混同していたため、患者へ交付した薬剤が本当にユーゼル錠だったか不安になった。
どのような過程で起こったか?
・薬剤師 A は、処方箋1の薬剤を患者に交付して調剤室に戻った。薬剤師 B が鑑査している薬剤を見て、別の患者にもユーゼル錠が処方されていると思い、「今日はユーゼル錠がよく出ますね」と声をかけた。
・薬剤師 B は、鑑査していた薬剤がユーゼル錠ではなかったため、「いいえ、これはゼローダ錠です」と返答した。
・薬剤師 A は、先ほど患者に交付した薬剤(処方箋1)が、本当にユーゼル錠であったのかと不安になった。
・薬剤師 A が処方箋1を鑑査した薬剤師に確認したところ、確かにユーゼル錠であったとのことであった。すなわち、薬剤師 A はユーゼル錠とゼローダ錠を混同しており、薬剤師 A の思い過ごしであった。
なぜ起こったのか?
・薬剤師 A は、以下の理由から、ユーゼル錠とゼローダ錠を混同したと考えられる。
1) 両剤ともユーエフティと関連する薬剤である(ユーゼル錠:ユーエフティと必ず併用される/ゼローダ錠:ユーエフティと同系統の薬剤である)。
2) 両剤とも「癌」に用いる薬剤である。
3) 両剤ともティーエスワンと併用禁忌である。
4) 両剤とも休薬期間が必要である。
5) 両剤とも識別コードの数字部分が 4 ではじまる(ユーゼル錠:TC447/ゼローダ錠:NR450)。
6) 両剤とも PTP シートがウィークリー包装である(ユーゼル錠:21(3×7)錠、ゼローダ錠:14(2×7)錠)。
7) 医薬品名はあまり似ていないが、4 文字であり、「ゼ」と「ー」が同じで、ラ行が一文字含まれる。
8) 当該薬局では、両剤が調剤棚の近い場所に保管されていた。
9) 当該薬局では、両剤とも頻繁に処方される薬剤ではなかった。
二度と起こさないためにどう対応するか?
・ユーゼル錠とゼローダ錠は、当該薬局ではまれにしかに処方されない薬剤であり、薬剤師 A は調剤・鑑査経験が少なかった。そのため、両剤は、剤形、識別コード、PTP シートの外観などの相違点が多いにもかかわらず、頭のなかでユーゼル錠とゼローダ錠を混同してしまったと考えられる。したがって、めったに処方されない薬剤や、調剤・鑑査経験が少ない薬剤は、慎重に調剤・鑑査する必要がある。
・当該薬局の他の薬剤師に、ユーゼル錠とゼローダ錠を間違える可能性があるか尋ねたところ、ほとんどの薬剤師が間違える可能性があると回答した。そのため、当該薬局では、ユーゼル錠とゼローダ錠の調剤棚の配置を変更(一方を引き出しの中に保管)するとともに、それぞれの保管場所にユーゼル錠では「ユーエフティと併用」、ゼローダ錠では「ユーエフティと禁忌」とのラベルを貼った。このように、少しでも調剤ミスのリスクがあると感じた場合は、薬局内のミーティング等で薬剤師全員に報告し、リスクを回避するための処置を検討する必要がある。