回避した不利益・得た利益は?
- ティーエスワンの投与設計が 6 週服用 2 週休薬となっており、疑義照会を行ったが、通常の投与量よりも低めに設定しているため問題にならないのではないかとの医師の判断であった。しかし、メーカーから医師への情報提供により、最終的には 4 週服用 1 週休薬に変更となり、ティーエスワンの投薬期間に関して医師の理解が得られた。
どのような処方内容か?
50 歳代の男性。
〈処方箋1〉 病院の内科。(3 月 18 日)
| ウルソ錠 100 mg | 6 錠 | 1 日 3 回 毎食後 | 14 日分 |
| パリエット錠 10 mg | 1 錠 | 1 日 1 回 就寝前 | 14 日分 |
| ティーエスワン配合カプセル T20 | 3 Cp | 1 日 2 回 朝食後・就寝前(1:2) | 14 日分 |
| アミノレバン EN 配合散 | 50 g | 1 日 1 回 就寝前 | 7 日分 |
〈処方箋2〉 病院の内科。(4 月 1 日)
| ティーエスワン配合カプセル T25 | 3 Cp | 1 日 2 回 朝食後・就寝前(1:2) | 28 日分 |
| ウルソ錠 100 mg | 6 錠 | 1 日 3 回 毎食後 | 14 日分 |
| パリエット錠 10 mg | 1 錠 | 1 日 1 回 就寝前 | 14 日分 |
| アミノレバン EN 配合散 | 50 g | 1 日 1 回 就寝前 | 21 日分 |
| リーバクト配合顆粒(4.15 g/包) | 3 包 | 1 日 3 回 毎食後 | 14 日分 |
患者基本(基礎)情報・背景などは?
- 患者は、ティーエスワンの増量について医師から聞いているとのことであった。
- 医師によると、ティーエスワンの就寝前投与は、5-FU の代謝分解酵素が夜間に低下し、薬物濃度が高くなるため効果的であるとの報告によるとのことであった。
薬局で何が起こったか?
- 前回、ティーエスワンは 2 週間分が処方されており(処方箋1)、今回は 28 日分である(処方箋2)。
- 患者によると、前回の分は今日の朝できちんと服薬終了しており、医師から休薬についての指示を受けていなかった。このまま服薬を 28 日間続けると、6 週間連続投与となる。患者本人は 6 週連続で服用するものだと思っていた。
- ティーエスワンの添付文書上の服用期間・休薬期間から逸脱するため、医師に確認する必要がある。しかし、患者は急いでおり、投与期間について医師とメーカーに連絡をして確認が取れ次第連絡すると伝え、とりあえずそのまま帰宅してもらった。
疑義照会の結果は?
- 医師に疑義照会したところ、「前回の 2 週間分に続き 4 週間分服用して良い。連続 6 週間で良い(適応外使用)。」との回答であった。もともと投与量を低めに設定しているので、60 mg/日から 75 mg/日に増量して 6 週間連続投与しても問題ないと判断したとのことである(患者は体表面積 1.75 であり、通常であれば(腎障害などなければ)、120 mg/日である)。
- 薬剤師はメーカーにも確認し、処方医とメーカー間で直接話しあってもらった。担当 MR より処方医に「最低でも 1 週間は休薬していただきたい」と連絡があった。最終的には、医師からはあと 2 週間服用後に 1 週間休薬するようにと指示があった。即ち、4 週服用 1 週休薬(適応外使用)に変更となった。
薬局からのコメントは?
- ティーエスワンの添付文書上の用法・用量を順守して使用することは当然であるが、医師が特段の理由があって適応外使用を意図する場合には、メーカーに問い合わせてエビデンスなどを入手し、総合的に判断するように依頼すべきであろう。
- 薬剤師が適応外使用の処方箋に慣れてしまうと、疑義照会を実施しなくなる懸念がある。もし処方ミスであれば大事に至る可能性もあることから、通常の用法・用量と相違している処方に対しては常に疑義照会する必要があろう。