抗がん剤が関係した薬局プレアボイド・インシデント事例ライブラリー

ティーエスワン、「1 日 2 回」を「1 回 2 カプセル」と思い込んだ患者


【Prescription】処方内容は?

60 歳代の女性。
〈処方箋1〉 病院の内科。
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ジゴシン錠 0.25 mg         1 錠   1 日 1 回 朝食後   28 日分
キプレス錠 10 mg          1 錠   1 日 1 回 朝食後   28 日分
オルメテック 20 mg        0.5 錠   1 日 1 回 朝食後   28 日分
ラシックス錠 20 mg         1 錠   1 日 1 回 朝食後   28 日分
メリスロン錠 6 mg          1 錠   1 日 1 回 朝食後   28 日分
ワーファリン錠 5 mg         1 錠   1 日 1 回 朝食後   28 日分
コメリアンコーワ錠 100       3 錠   1 日 3 回 毎食後   28 日分
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〈処方箋2〉 内科・小児科クリニック。
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ティーエスワン配合カプセル T25   2 Cap   1 日 2 回 朝夕食後  28 日分
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*ワーファリンとティーエスワンの相互作用についてはモニター中である。
*ティーエスワンの用量(適応外)については処方医に確認済みである。

【Incident】何が起こったか?

 2 カプセルを分 2 の処方のところ、1 回 2 カプセルずつ、すなわち 4 カプセルを分 2 で服用していた。

【History】どのような経緯で起こったか? どうなったか?

 これまで、病院の内科において処方箋1の薬剤を服用していた。大腸がんの手術後にリンパ節からがん細胞が見つかったとのことで、ティーエスワン配合カプセルが内科・小児科クリニックから 5 月 11 日より開始された(処方箋2)。5 月 21 日に患者から薬局に電話があり、ティーエスワンが足りないと訴えた。薬剤師が服用方法などを尋ねたところ、4 カプセルを分 2 で服用していることが発覚した。
 幸いなことに、過量服用による有害事象は発生していなかった。その後、6 月 6 日よりティーエスワンの 2 クール目が開始された(過量服用後の休薬期間などの詳細については確認が取れていない)。薬剤師が 6 月 7 日に患者宅に電話し、ティーエスワンの服用状況を確認したところ、処方通り 2 カプセルを分 2 で間違いなく服用しているという。

【Assessment】なぜ起こったか? 何が問題か?

 ティーエスワンの飲み間違いについて患者に確認したところ、以下の原因が明らかとなった。

(1) 薬袋に 1 日 2 回と記載されていたのを 1 回 2 カプセルと思い込んでしまった。
 処方箋1のジゴシン錠、キプレス錠、オルメテック錠、ラシックス錠、メリスロン錠、ワーファリン錠は全て 1 日 1 回であり、これを 1 回 1 錠(あるいは、ワーファリン錠、オルメテック錠は分包の 1 包)と読み違えたとしても服用する量に変わりはない。コメリアンコーワ錠は 1 日 3 回であり、これを 1 回 3 錠と読み違えると 1 回服用量が 3 倍となるため、間違えない可能性が高い。

(2) ティーエスワン配合カプセルの PTP シートが 2 カプセルずつ並んでいることと、ウィークリーシート(14 カプセル)に馴染みがなかったことで、シート 1 枚が朝服用の 1 週間分と思い込み、1 回 2 カプセルを服用するとの思い込みに拍車がかかったと思われる。
 処方箋1で当該患者に交付されていた薬剤は、バラ錠であるワーファリン錠 5 mg、0.5 錠であるオルメテック錠以外、ジゴシン錠、キプレス錠、ラシックス錠、メリスロン錠、コメリアンコーワ錠は全て 10 錠シートであった。

 新しく処方された薬剤であるティーエスワン配合カプセルの 1 日服薬個数(今回は 1 日 2 カプセルであり、これまでの服用薬剤はコメリアンコーワ錠を除いて、1 日 1 錠あるいは 1 包であった)について、薬剤師による説明と確認が徹底していなかったことも要因である。
 患者は、大腸がんと診断されてから、かなり気分が落ち込んでいた。さらに、ティーエスワンを開始する理由として、処方医より「手術は成功して、大腸の方は大丈夫だけど、リンパからがん細胞が 1 個だけ見つかったので抗がん剤を追加します。」と言われたそうである。患者は、このことを大変に不安に感じていたようである。この様な精神状況も新規処方された抗がん剤の誤服薬に至った一つの原因になったのかもしれない。

【Plan】二度と起こさないためには? 確認ポイントは?

 PTP シートの薬剤数(10 剤と 14 剤)が誤服薬の要因になる可能性があることを認識する。さらに、「1 日○回」服用を「1 回○錠」服用と読み取ってしまう患者が存在することを認識する。したがって、新しい薬剤が追加されるたびに、「1 回服用量」と「1 日服用回数」の確認が必須である。

【Instruction】服薬指導の例は?

「ジゴシン錠、キプレス錠、オルメテック錠、ラシックス錠、メリスロン錠、ワーファリン錠は全て 1 回 1 錠または 1 包、1 日 1 回の服用です。コメリアンコーワ錠は 1 回 1 錠、1 日 3 回の服用です。今回から始めるティーエスワン配合カプセルは 1 回 1 カプセル、1 日 2 回の服用です。全て 1 回 1 個ですよ。それから、ティーエスワンは 1 シートに 14 カプセルが入っており、朝夕に 1 カプセルずつ服用して 1 週間分です。」


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